2009年04月12日

アマチュア無線一級受験

アマチュア無線一級の試験を受けてきました。以前は非常に難しい雲の上の資格でしたが、最近はずいぶん簡単になってきました。

まず一番の難関だった電気通信術、つまりモールス信号の送受信ですが和文がなくなり、速度もとてもゆっくりになりました、以前は毎分60語だったのが今やかつての電信級と同じ毎分25語になっています。このためか電信級、今は3級を持っていると電気通信術の実技が免除されるようになりました。私は電信級を持っていたのでこれを受けずにすみます。

学科は工学と法規で、参考書は何十年前とたいして変わらないCQ出版の「新上級ハムになる本」と過去に出た問題の問題集です。著者も大昔からのおなじみさんで世代交代のない停滞した世界の感を受けます。

じつはこのほかにも隠れたベストセラー「楽しくおぼえる1アマ攻略」という参考書があります。群馬のガールスカウトで使用されて女性の一級合格者を輩出させたテキストを出版したもので通称「ガルスカ本」というそうです。既に絶版になっていますが秋葉の書店で見つけることができました。前記の参考書は基礎からしっかり覚える内容ですが、これは徹底して受験テクニックをたたき込むもので理論の理解などは二の次という割り切りが楽しい本です。ただ残念なことに現役受験世代にはわかりやすいのでしょうが、年寄りには返って覚えづらく結局昔ながらの参考書にもどってしまいました。

これらの参考書は受験3ヶ月前から用意していたのですが、目を通すこともなくズルズルと試験前日まできてしまいました、夏休みの宿題モードです。泥縄で問題集の工学の部分を半分ほど読んだだけで試験に突入してしまいました。読んだ範囲でも以前は常識として知っていたことを忘れてしまっていることに気づかされて愕然としました、たとえばフレミングの右手、左手の法則でどちらがモーターの原理だったかとか、レンツの法則の内容だとか改めて覚えなければなりませんでした。またインピーダンス計算での複素数の処理も手強く、この種の問題は捨てることにしました。最も衝撃だったのは開平(ルート計算)の手計算のやり方を忘れていたことです。

こんな準備が全く不足した状態で勝どきの受験センターに行くと各室60人ほどで3室が埋まるほどの受験者がいました。当然のごとくほとんどは私同様のオヤジでしたがごく少数の若者もいたのはアマチュア無線界のかすかな希望でしょうか?

試験が始まってみると思っていたより解ける問題が多く、たっぷり見直しても時間があまり、早めに退出しました。しかし持ち帰った問題と参考書を付き合わせて自己採点すると、おそれていた工学は楽勝でしたが法規は不合格でした。しかも工学と法規では科目別合格はないので次回また両方受験しなければなりません。

法規は参考書に目を通すことすらしていなかったのである意味当然の結果とはいえ、たんなる常識で判断してはならないことを痛感しました。条文で使われている語句に慣れておかないと正答できません。
というわけで次回の受験の準備として参考書、特に問題集を徹底的に読み込むことにしました。工学の方は既に持っている知識で十分なことは今回わかったので、法規に力点を置いて条文を何度も読み返して慣れるようにします。

一級を取ってもマンション住まいでは500Wで送信することもないので実際には二級と違うことは何もないとは思いますが、やはりチャレンジすることは楽しいと実感しました。

投稿者 tickets : 09:19 | コメント (0)

2008年12月11日

KWM-2A 直りました

KWM-2Aの修理が進まず、結局プロに頼んで修理しました。

SSG(標準信号発生器)の中古も入手してチェックしたのですが、第一局部発信器の不具合はなおしたものの感度は低いし送信時に終段のグリッド電流は流れないし、手に負えない状態でした。Collins関連の機器を扱っている方にお願いしたところ感度も送信出力もほぼ正常値になりました。
修理箇所は段間コンデンサや抵抗の不良、局発の真空管不良などかなりの数に上っていました。昔の勘が取り戻せていないとはいえ、これだけの不良が重なっていてはコツコツやっていたら非常に時間がかかっていたことと思います。

しかし...SSGで感度を調べれば十分なレベルに達しているのに実際の信号が全く受信できません。かろうじて微弱な信号(CW)を一度受信しただけであとは何も受信できていません。貧弱な売り竿アンテナ(+オートアンテナチューナ)が原因と思いEHアンテナという超小型のアンテナを設置しましたが同様です。空のコンディションが最悪だし、マンションの一階のベランダに設置という点を考慮してもひどい状態です。別のHFトランシーバを接続しても同じなのでアンテナが悪いと思いますがこれ以上のアンテナをあげられる状況ではないので悩んでいます。

投稿者 tickets : 09:17 | コメント (0)

2008年11月29日

KWM-2A到着!

eBayで入手したHF(短波)のトランシーバCollins社のKWM-2Aが到着しました。

さすがに50年ほど前に製造された機械なのでかなりへたっている感じはしますが、動作確認後にオーバーホールしてきれいにするつもりです。
しかし残念ながら正常動作していません。受信状態で雑音はでるのですが、信号を受信してくれません。グリッドディップメーターからの信号も受信できません。第一中間周波数の信号は受信するので第1周波数変換の局発が生きていないような雰囲気です。
eBayの説明文では正常動作しているように書かれていたのですが、あてにしてはいけないようです。別にeBayで購入した電源もやはり正常動作と書かれていたのに、ヒューズ部分のパーツ不良で電源自体入らない状態でした。

これが半導体製品で専用ICが入っていたらお手上げに近いのですが、真空管の場合は回路とパーツを追っていけばなんとかなるので、修理も楽しみのうちです。eBayではKWM-2用の真空管一式(ファイナル管2本を含む)が99ドルで売られていたりして、リストア用のパーツも入手できるのがうれしいところです。

しかし大きく重いので部屋を整理してワークベンチをセットしました。
中古のシンクロ(オシロスコープ)も入手しました。今まで使用していた中古品が巨大でしかも調子が悪かったので、Tektronixのものを買いました。このブランドもCollins並に雲の上の存在でしたが、今はアジレントに買収されてしまったようです。ちなみにCollinsも今はRockwellの1部門になっています。

懐旧の思いにひたったり、時代の流れを目の当たりにしたり感慨深いものがあります。

投稿者 tickets : 22:28 | コメント (0)

2008年11月21日

Collinsという選択

ハムに復帰して驚いたのはかつて雲の上だったマシンに手が届くようになっていたことです。

米国のCollins(コリンズ)といえば究極のアマチュア無線機器のメーカーでした。何十年も前の話になりますが、Collinsの機械はほぼ年収分もしたはずで普通の人が手を出せるものではありませんでした。しかし今eBayをのぞいてみるとそれらのマシンが1000ドル前後で入手できます。もちろん製造後何十年もたった真空管の機器ですから最新の半導体機器に比べれば性能面でも機能面でも劣っています。

今世界のアマチュア無線機器のシェアのほとんどを占めるのは日本製機器です。このあたりカメラに似ていてライカ、コンタックス(風邪薬ではありません)の時代からニコン、キャノン、ペンタックスの時代、さらにデジカメになって日本製がシェアを独占しているのと同じです。ちなみに私は10年ほど前にライカIII-f、いわゆるバルナックライカを入手してメカニズムの美しさに満足していますが、現在のRシリーズなど欲しいとは思いません。

なにはともあれ高い輸送費(2〜3万円)を払って届いたKWM-2(HFトランシーバ)を目の当たりにすると感慨深いものがあります。日本製の機器が世界に伍するようになった時代のTrio(現Kenwood)の599シリーズも持っていますが「本家」Collinsのマシンの持つ迫力にはとうていおよびません。
これも高い輸送費を払って(なにせ重いので)入手した電源を苦労して修理してKWM-2のランプが点灯しスピーカからノイズが出てくると昔の情熱が少し戻ってきたようです。真空管の機器でミスをすると球が壊れるのではなく、抵抗が真っ赤に焼けることや、高圧(300〜800V)に感電して皮膚に穴が開くなどということも何十年ぶりかに思い出しました。

環境に恵まれないアパマンハムですが、アンテナを工夫してテクニカルな話のできる相手を探そうと思います。

投稿者 tickets : 11:34 | コメント (3)

アマチュア無線再開しました

何十年ぶりかになりますが、HAMを再開しました。

現時点では昔のコールサインの復活と、1エリアでの新規コールサイン取得を行いました。
申請がネット経由でできるようになっており、しかもネット経由だと申請料が安くなるという今風のシステムになっているのがうれしいところです。昔からハム関係の申請は何をするにしても関連団体に金が落ちる不明朗なしくみだったのですが、最近は様変わりしているようです。

久しぶりにラグチューをワッチしてみるとつまらない内容が多いのでがっかりしました。タクシー無線ごっこと法律違反のオーバーパワーでのメンコ集めが横行しています。

良い点はフォーンパッチが解禁になり、インターネット経由で海外と交信できるようになったことです。
米国では昔からハムの通信機を電話回線に接続して電話相手との通信が許可されていました。しかもハム側はその局の管理者が横にいれば免許を持たない人でもよく、さらに電話側も免許のない普通の人でもよかったのです。つまり免許をもたない人同士で無線電話ができたのです(今どのようになっているのかは不明ですが...)

現在日本で運用が可能な方式はハム側も電話側も双方が免許を持っていなければなりませんが、その範囲であればかなりなことができます。たとえば日本の局が中継局を無線で呼び出し、そこからインターネットを経由して海外の中継局に接続し、そこからまた無線で海外局と通信することができます。
ちょっと公専公(公衆回線ー専用回線ー公衆回線)接続に似ていますが、郵政省(当時)が「電波法を改正しない限りフォーンパッチは許可されない」との見解を公にしていた頃を知るものとしては隔世の感があります。
これを実現するシステムはいくつかありますが私はEchoLinkというものを使用する予定です。このシステムの面白いところは無線を使わずに双方がPCでも問題なく使用できる点です。ようするにSkypeのようなものですが、無線とリンクしてフレキシビリティが高い点が面白そうです。

一時日本は世界で最大のハム局数を誇っていましたが、最近の凋落ぶりは激しく局数の減り具合が世界一のようです。団塊の世代が退職で暇をもてあますのでまた復活してくるかもしれませんが、マルコーニの時代から技術の新しい世界を切り開いてきたハムの気概こそ復活して欲しいところです。

投稿者 tickets : 11:02 | コメント (0)