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2006年06月27日

[最終兵器彼女]に見る日本のCG

「最終兵器彼女」実写版をDVDで見ました。ネタとして見たものの退屈で長い2時間でした。

しかし最後まで我慢した価値はありました、ラストまわりのCGの出来がとてもすばらしかったのです。SLBMを発射する潜水艦、地球を背景に襲ってくるミサイルなどハリウッドなみのできばえでした。それまでのCGが背景との融合がうまくいっていなかったりテクスチュアがいい加減だったりしたのに比べると別物でした。

これはきっとILMなどの米国のスタジオに依頼したのだろうと思いタイトルロールをチェックしましたが、中国系のチームが一つあっただけで、他は全て日本人でした。日本でもこれだけのものが自前でできるのですね。
金をかけた「ローレライ」や「男達の大和」(これは予告編しか見ていませんが)のレベルの低いCGからは信じられません。「ローレライ」では海上艦船のテクスチュアが20年前のCGのようにのっぺりとしていますし、せっかくの「大和」の勇姿も波がなじんでおらずいかにも合成といった感じを与えます。

プロデューサー主導で制作される大作と、現場のオタ主導で制作された作品では金と手間をかけるポイントが違うのでしょうが、どちらももう少し良い落としどころを探してほしいものです。

ところで「最終兵器彼女」の映画としての出来の悪さはいまさら言及しませんが、額にしわを寄せたオヤジ顔の高校生はなんとかならなかったのでしょうか?

投稿者 tickets : 22:16 | コメント (0)

2006年06月19日

GYAO:唯一成功したインターネットTV

USENが運営しているGYAOは、おそらく世界で唯一、顧客の取り込みに成功したインターネット動画配信サービスでしょう。

それまでいくつもの動画配信サービスが鳴り物入りで登場しながら失敗してきました。原因は単純です、提供しているコンテンツが貧弱で金を払って見るようなものではありませんでした。日本におけるキラーコンテンツは、どこもガンダムで差別化もできていませんでしたし、金を払っているのにビットレートの低い質の悪い画像ですからレンタルDVDと比べようもありません。

ところがUSENは最初から質、量共に見応えのあるコンテンツを用意して、しかも無料で提供しました。ビットレートも高く、質の高い画像を見る事ができます。これはUSENが次の時代のビジネスを模索しての先行投資と考えているからです。
当初はUSENのISP事業を拡大するツールとしてコンテンツを用意したのでしょう。しかしクローズドサービスではなく、他のISPのユーザーでも利用できる無料サービスとしたところにUSENのセンスのよさが光っています。その結果短期間で1,000万ユーザーを獲得しました。

USENは他社がペイパービュー方式を目指して失敗している中で、この視聴者数をベースにしたCMからの収入による民法TV方式を実現しようとしているのです。

しかし現在では投資に見合う収入はありません。コンテンツを揃えるためには映画会社等に前払い金を支払わなければなりませんから当分持ち出し状態が続きますし、その金額はUSENといえども大きな負担になります。
しかし決して勝ち目のない闘いではありません。一番の武器はTVに比べてはるかに有効なCMを提供できる事です。現在TVではZAPPING、あるいは録画してCMをとばしてしまうといった視聴形態が一般的になってCMの効果は大幅に減っています。
ところがGYAOではCMスキップも録画もできないシステムになっていて、強制的にCMを見せる事ができます。チャンネルを切り替えるように別の番組に切り替える事はできますが、元の番組に戻ると最初からの再生になるのであまり意味はありません。この結果CMの到達率は飛躍的に高まります。
さらにインターネットは双方向メディアですから視聴者の動向をとらえて最適なCMを送り込む事も可能です。

電波は免許制のもとで放送局の設置、運営には厳しい規制がかけられています。しかしインターネットは放送法による制限も(現在は)受けていません。電波のような到達距離の制限もありませんから世界のどこにでも放送局を設置できますし、設置コストも安価です。

新しいメディアの上で新しいビジネスが動き始めています。大きなエポックを目撃するだけでなく、参加できる時代に生きている幸せを感じています。

投稿者 tickets : 00:54 | コメント (0)

2006年06月18日

Gundam SEED Destiny:最悪アニメ

遅まきながらガンダムSEED Destiny のDVD全巻を見終わりました。

最近はこんな手抜きが許されるほどアニメの視聴者の質が落ちてるのでしょうか?

 ・過去の映像の使い回しだけで作った回が数話ある
 ・そこまでいかなくても過去のシーンの使い回しが多く、シンの家族が殺された場面など見飽きてしまった
 ・さらにストーリーと無関係な使い回しのシーンまで挿入されている

シリーズの後半になるほどこれらが目立つのは制作が間に合わなくて過去のつなぎ合わせでごまかしたからでしょう。その結果本来のストーリーで説明される予定だった部分が落ちてしまったものがあるようです。「片目の女戦士率いる三銃士」など、前振り無し、活躍無し、出てくる意味も無しとなっています(前作を見ていればわかるというツッコミは無しで)。

このようになった原因を想像してみると制作意図が単に「CGを多用した迫力有る戦闘シーン」を描きたかっただけだったからでしょう。創作のなんたるかを知らないアニメオタが作ったのでしょうか?戦闘シーンだけに時間を使った結果本来のストーリー部分が間に合わなかったように思えます。確かに戦闘シーンは見栄えがします、しかしそんなもの最新のPS2のゲームならもっと迫力があるシーンをインタラクティブに楽しめます。そこに至るストーリーがあるから戦闘シーンに感情移入できることも知らないのでしょうか?

「人の心を感動させるものは人の心しかない」と、かの海原雄山氏もおっしゃっています。かっこよいシチュエーションとかっこよいシーンを用意すればよい物語ができるとの勘違いは実写「ケルベロス」の押井守(ラジオドラマを作るそうです)、あるいは超駄作「リターナー」あたりで終わりにして欲しいものです。

ついでに指摘すると:

・主役は誰なんでしょう
  まさか成長せずに最後まで駄々っ子のシン?
  それとも前作に引き続いてアスランの続投?
・ストーリーがメチャクチャ
  重要だったはずのExtendedは三人ともあっさり消えてしまう
  予定回数をこなしているのに最終話が消化不良のはしょり具合
・余分なもの多すぎ
  例えば物思わせぶりに登場したのに、その回で消えてしまったフェイス(名前を覚えるヒマもなかった)
  これって声優が有名(?)タレントなんだそうですね

通勤途中の電車でDVDを見ているのですが、途中で何度も眠ってしまいました。

Gundam SEED が(女顔のキャラクタデザインにもかかわらず)面白かったのでDestinyも見始めたのですが、日本のアニメの明日はあまり明るくないようです。やはり父さんに殴られないとダメなのでしょうか・・・だとすればゲド戦記は案外いいかもしれない・・・

投稿者 tickets : 13:59 | コメント (0)

2006年06月15日

今時のOS(3) Solaris

実は Solaris についてはあまり書く事がありません。

「本物」として非常に高価で自宅用には手が出なかった Solaris が無償になった時に喜んで入手しました。米国から CD-ROM が届いた時は感激しましたが、いそがしさにかまけて殆ど使う事はありませんでした。
そのうちに SUN がまた方針を変えて新バージョンは無償でなくなったので、使う気にもならず放り出してしまいました。

その後 Linux が普及したためか SUN はまた Solaris を無償にしましたが今度は飛びつく気にはなりませんでした。本気で使い始めた後でまた SUN の気が変わって有償化されたら大きなダメージをこうむります。
それに以前は洗練度で Solaris に及ばなかった Linux が遜色ないまでに完成度を高めた事もあり、Solaris がそれほど輝いて見えませんでした。

というわけで今後も自宅システムに Solaris を使う事はないと思いますが、かつてあこがれた Solaris の名は今でも私には魅力的です。

投稿者 tickets : 23:35 | コメント (0)

2006年06月13日

今時のOS(2) Windows Vista

Windows次期バージョンの Windows Vista のβ2がダウンロードできるようになりました。

約3GBのファイルをDVDに焼いて、ノートPCにインストールしました。PentiumV/800MHz、RAM384MBと今となっては非力なマシンですが、とりあえず動いています。

Windows Vista はグラフィックスチップを認識してくれなかったのですが、1024x768のLCDを設定したところ色も含めて、しっかり表示されました。グラフィックスチップがi810のマシンにインストールした際には標準VGAとして256色しか出ず実用にならなかったことに比べると救いがあります。

Internet Explorer 7を使ってみても、若干動作が重い点を除いて特に問題になることはありませんでした。

ところが付属のゲームソフトを起動してみると描画に時間がかかりすぎて使い物になりません。ソリテアでもカードを選択するのに数秒かかり、移動では10秒程かかる場合もあります。しかも時間がかかりすぎるためか選択したはずのカードが選択されない場合もあります。ゲームを起動する際に「ハードウェアアクセラレータがありません」といった内容の警告が出ましたが、DirectX9 対応になっていないためでしょう。
DirectX9 をフルに使うことでテスト用のツールとしていることも考えられますからまともに動作しなくても文句を言う筋合いではないのかもしれません。

しかし Windows Vista の要求仕様が非常に高いことから、現在使用されている多くのコンピュータがふるい落とされて買い換えなければならないことが予想されます。

Microsoft は Intel と二人三脚で発展してきました。新しいOSはより強力なCPUを要求し、新しいCPUが新しいOSを可能にしてきました。しかし最近は旧式のPCでも十分実用になる状態が続きコンピュータの買い換え需要が頭打ちになっています。Microsoft と Intel はこのような状態に満足せず2〜3年でコンピュータを買い換える世界に戻そうとしているようです。

液晶ディスプレイが付属したPCがWindows込みで6万円程度で購入できるのに、Windows単体が2万円以上するというのは異常な状態です。一方でメーカー製のPCが中古市場に出てくる時にはバンドルされていた Windows が外されている例が増えてきました。

ここから透けて見えるのはOSをコモディティとして消費させようとする Microsoft の戦略です。従来ハードウェアから独立していたOSをハードウェアと一体にしたライセンスに切り替え、PCを買い換えたらOSも買い直さなければならないようにするのでしょう。
OSのコモディティ化それ自体は悪い事ではないのですが、コモディティにも関わらずOEM価格を高値維持して商品価格に跳ね返らせるのでは独占による価格操作のそしりをまぬがれません。

ビジネスアプリケーションがパッケージソフトからネットワーク上のサービスに移行する事で Microsoft が Office で得てきた莫大な利益が先細りになることが予想されます。OSでも Linux の予想以上の普及は Microsoft に危機感を持たせています。しかしその対抗策が独占の一層の強化ならば Microsoft の先も見えてきたような気がします。

投稿者 tickets : 20:50 | コメント (2)

2006年06月11日

今時のOS(1) FedoraCore 5

Linux のディストリビューションの一つ FedoraCore 5 をインストールしました。

最近の Linux はインストールが容易になり、各種のデバイスドライバも充実しているのは知っていましたが、アップデイトの進歩に驚かされました。

GUIからアップデイトツールが起動でき、必要なモジュールを選べば後は相互の依存関係を調べてダウンロード、インストールまでしてくれます。要するに Windows Update と変わりない使い勝手になっています。
以前からインストールはずいぶん改善されていましたが、アップデイトは面倒な手作業が伴うままでした。それが改善されたことで Linux は X-Window の GUI から離れずにほとんどの作業が行えるクライアントOSに進化しました。

もちろんOSだけでなくオフィスソフト(OpenOffice.orgなど)も無料で入手できます。また動作が軽いので旧式のPCでも動作します。今回私が使用したPCはCeleron 1.2GHz、RAM512MB、HDD80GB、グラフィックスチップは統合型i810を解像度1280×1024で使用しましたが全くストレス無しに使用できます。

一方で同じPCにインストールして試した Windows Vista (β2版)ではインストールこそできたものの動作が重く FedoraCore のサクサク感は望むべくもありません。
さらに使用したグラフィックスチップがサポートされていないので標準VGAとしてしか機能せず 1024×768モードでは256色になってしまい表示の一部が読みとれず全く実用になりませんでした。もしドライバができたとしても DirectX 8.4 までしかサポートしていないので Windows Vista の要求仕様 DirectX 9 をクリアしていません。

Linux はサーバ用途にはベストチョイスであってもメインテナンスに専門知識が必要なのでクライアントOSとしては使えないと考えていました。しかし、このレベルなら素人さんが使用するクライアントOSとして通用します。特にメイル、ブラウザ、オフィスツールの3点セットだけがあれば足りる用途(これがほとんどでしょう)はほぼカバーできます。

ところでオフィスソフトで問題になる互換性ですが、外部に提供する文書はPDFフォーマットで出力すれば解決します。最近は改ざん防止と MS-Word のバージョンによる見え方の違いを防ぐためにPDFで提供する事も増えています。
しかし Excelファイルで提供されることが多いスプレッドシートでは関数に互換性が無い点が大きな問題になります、この点には何らかの解決方法が必要でしょう。

投稿者 tickets : 22:15 | コメント (0)