”I am sorry I'm afraid I can't do that" HAL9000 の有名なセリフです。HAL のパネルの赤く光るカメラアイが
不気味ながら魅力的で Spavce Odyssey といえばこのパネルを思い出す人も多いでしょう。
このパネルを作って部屋の壁に取り付けたいと思い検索してみるとガレージキットが見つかりましたが
$70 程度する上にレジン製なのでアルミダイキャストを再現するには高度なペイントテクニックが必要です。
単純な構造なので実際のアルミなどを使用すればリアリティのあるものが製作できそうなので取り組んでみました。
お手軽な製作をしてみたい方にはペーパークラフトを掲載しているサイトがあります。
http://cyberdrone.deviantart.com/art/Cubee-HAL9000-135038038
素材の収集
パネル部分はアクリル板をベースにして周囲のトリムはアルミのチャンネル材を使用しました。パネルの中心部は上下ともパンチングメタルになっているので下はスピーカグリルとしました。上部はパンチングされたビニール素材のようにも見えますが入手が困難なのでアルミのパンチングネットを黒く塗装することにしました。赤いカメラアイのドーム部分はジャンクで拾ってきた監視カメラのドームを流用しました。カメラアイの周囲のアルミのエスカッションが最も入手困難な部品でした。アルミを挽いて作れば本物同様になるのですが、旋盤は無いし作ってもらえば高くつきそうです。レジンキットのようにプラスチックのリングを塗装しようかとも考えたのですがやはり本物の金属で作りたいのでちょうど良いサイズのものを探し回った結果排気ダクトの部品で使えそうなものを見つけました。
機能としてはカメラアイが赤く光ることと中央部に黄色のドットを表示し、スピーカも取り付けます。また遠赤外線センサーによる人感センサーを組み込み、人が前に立つと反応するようにしました。
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周囲のトリムとなるアルミのコの字チャンネル材とそれを固定するためのアクリル角材です。トリムは本物はダイキャストパネルと一体のようですが、チャンネル材でごまかします。突き合わせの部分に筋が入りますが仕方がありません。
パネルのベースがアクリルなので確実な接着が容易なアクリル棒を使用し。 チャンネル材をエポキシで固定しました。
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パネルに使用するアルミのパンチングネットです、ホームセンターで入手しました。スピーカ部分とより細かいピッチのカメラアイ部分と2 種類を用意しました。
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カメラアイに使用したドームカメラです。アキバでジャンクで300円程度で拾ってきたものがあったのでこれを分解してアクリルドームを流用しました。
このドームの直径は約110mm でしたが東急ハンズやネット通販で入手できる100mm のドームも同様に使用できます。
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カメラを分解した状態です。左下のドームだけを使用しました。
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カメラアイの周囲のリングはこの排気ダクト用アルミパーツをカットして使用しました。ほんのわずか使うだけなのですが、1,300円以上したのでかなり割高なものになりました。
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排気ダクトにたどり着くまでに検討したものです。100円ショップで売られていた揚げ物用のネットですがサイズはぴったりでした。しかし材質がステンレスなので接着や表面処理が難しい点と下側の縁の方が上より幅が狭いため、隙間があいてしまうので採用しませんでした。
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この写真をダウンロードあるいはクリックした先の画像をダウンロードしていただくと私が製作したものの実寸図になります。私はこれから採寸して製作したのでご参考まで。元の画像はアスペクト比がひずんでいたのでカメラが真円になるように修正してあります。
実寸なのでロゴもその部分を写真プリントすれば使用できます。
資料を探していて気がついたのですがこのパネルには縦長のバージョンもあり設置場所によって異なる場合があるようです。私はこのプロポーションが気に入ったのでこのサイズにしました。周囲のアルミの縁取りは幅5mmのものを使用しました。
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パネル部分の製作
パネルは3mmt のアクリル板を切り出すところから始めました。スピーカ用と人感センサ用、照明用の三つの穴を開けました。周囲にはアルミチャンネル材固定用に5mm□ のアクリル棒をチャンネル材の厚み分内側に接着しました。
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手前がアクリルの基台で奥がカットずみのチャンネル材です。基台に5mm□ のアクリル棒を接着し、その上からエポキシ接着剤を中に入れたチャンネル材をかぶせました。
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スピーカ固定具もアクリルで作成しました。丸穴は固定サイズのホールソーではサイズが合わなかったので直径を自由に設定できるフリーサイズのホールソーで開けましたがかなり怖い工具でした。
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このツールで穴を開けました。周囲の刃が高速で回転するのですが刃の幅が広く材料に食い込むので材料が振り回され怖い思いをしました。たぶんドリルプレスで使用するのが正しい使用方法で私のように手持ちドリルで使うのが間違っているのでしょう。今後少なくとも金属に使用する気にはなれません。
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上記の固定具で固定する前にぐらつかないように3mm□ のアクリル棒をガス火であぶって曲げて接着しました。 鍋で長時間煮ても柔らかく出来ますが直火で注意深くあぶった方が早くできます。
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固定されたスピーカです、アクリルの固定具を接着した後に二カ所ビス止めしてあります。さらにがたつき防止にホットメルトを盛りました。パンチングメタルから光が漏れないようにスピーカの開口部以外は黒い紙を貼ってあります。スピーカはジャンク箱にあった適当なものでたぶん許容入力200mW ぐらいのものだと思いますが、フェライトマグネットですしそれほど大きな音を出すことではないので十分でしょう。
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HAL9000 のロゴはネットから拾った画像をリサイズしてフォトプリントしました。レジンキットはこのようなシールしか使用していないのですが、映画をよく観察するとダイキャストの縁がありました。しかしアルミの地は出ておらず白く塗られているようなのでプラ板とプラ棒で作成し白く塗装しました。プラ棒の接着痕が出ないように十分接着剤を付けた上で乾燥後にパテ埋めしてサンドペーパーで水研ぎして下地を整えました。
ロゴ自体は映画でも浮き彫りではなかったのでプリントを使用しています。
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リングはダクトをミニルータで切り落として作成しました。エッジを整えた後、表面を荒いサンドペーパーで荒らしてヘアライン風にしました。高校生のころヘアラインのアルミ板が高価だったので編み出した技法ですが、当時ほどの根気が無くなっているので、あまりきれいには仕上がりませんでした。
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カメラアイをのぞいてできあがったパーツを仮組みした状態です。ロゴプレートは両面テープと1.5mm の小ネジで固定しました。
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カメラアイ部分の製作
映画で調べるとカメラアイ部分は半球で飛び出しているのではなくかなり浅いドームでした。
色は暗赤色ですが周囲にかけてグラデーションがかかって暗くなっています。更に中央部には黄色のドットがあります。
ドームの内側にはプラモデル用の透明赤を塗り重ねて暗赤色でかつ光が透過するようにしました。
照明はまずLED を試してみたのですが発光パターンの指向性が強く全体を明るく照らすことはできませんでした。
豆電球では光は全体に回るのですが、それでもドームを透かしてフィラメントが見えてしまいます、またグラデーションも
かかりません。そこでドーム内部に黒スプレーでグラデーションをかけた発泡ポリウレタンを押し込んで光の均一化と
グラデーションを解決しました。中央の黄色のドットはLED で表現しました。ドーム内部の暗赤色が影響して
黄色のLED では透過しなかったので緑色のLED を使用しました。黄色にはなりませんでしたが周囲とは違う色になっています。
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薄くカットしたアクリルドームの内側に透明赤を塗り重ねたところ良い感じの暗赤色に仕上がりました。
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塗りおえたドームとリングです。
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ドームの中に入れる光拡散用のポリウレタンフォームです。周囲が濃くなるようにスプレーをかけてグラデーションをかけています。中央に穴を開けて緑色LED を差し込みました。
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豆電球は穴を開けたウレタンフォームを接着し、そこに差し込んで固定しました。これで前後の位置調整も簡単にできます。左の基板は配線用の中継端子です。
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センサー
ただのスピーカ付きの壁飾りではつまらないので人感センサーを組み込みました。
秋月電子で販売しているキットは検知範囲が狭いフレネルレンズが付いているのでそのまま使用できました。
人が前で移動すると反応してリレーがON になり同時にカメラアイの中央のLED が点灯するようにしました。
リレー回路で音声反応を起動させる予定ですがPIC でできるかノートPC が必要かまだ検討中です。
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秋月電子の人感センサーキットです。1,500円で安いと思ったのですがセンサー単体は100円で販売していました。近距離ならレンズ無しで動作するかもしれないのでパーツで組み上げても動作するかもしれません。左下の白い円筒がレンズでこれにより約5° の狭い範囲を検知するようになります。
リンク先は秋月電子のホームページです。
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パネルにセンサーを取り付けた状態です。この上にパンチングネットが取り付けられますが、問題無く検知して動作します。ネットの穴内部で反射するので多少検知範囲が広がるようですが特に問題になるほどではありませんでした。
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全体の組み上げ
できあがったパーツを組み付けて完成です。まだソフトウェア部分を作っていないので前に立てばカメラアイの
中心のLED が点灯するだけですがそれなりの雰囲気は出ています。
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シンプルな構造なので一日でできあがると見こんでいたのですが塗装の失敗など問題がでて結局三日かかりました。
これをどこに取り付けるか考慮中ですが、自宅の玄関ではやり過ぎでしょうし、耐候性もありません。PC を一台組み上げてそのパネルに取り付けるというのもあまり芸がありません。自室の壁かドアに取り付けるのが妥当な線かと思いますが、裏の部品がかなり厚みがあるので埋め込まなければなりません。
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豆電球を点灯した状態です。光の拡散もグラデーションもうまく出ていますが塗りむらが目立つのが残念です。
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番外編
ネットで情報を探していたところeBay で面白いものを見つけたので購入しました。
元々期待もしていなかったのですが、それを裏切らない脱力感あふれる品物でした。
簡単に貼り付けられるのがメリットですが、玄関ホール、トイレなどいろんな場所にかざしてみましたが
どこもしっくりくる場所がありません。
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壁に貼るHAL9000 のプレートです。
上部のHAL9000 のロゴが左右一杯なのが違和感がありますが、正面からみている限りは払った金の分くらいの価値はある用にも思えます。
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横から見たらただの板です。これならカラープリンタと発泡スチレンボードで簡単に自作できます、どちらも家にあるし。
ドームだけでもPET か何かが貼り付けてあれば全く違う印象になるとおもうのでやってみようかと思います。
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裏から見るとHAL9000 というよりはモノリスです。
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