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2007年05月06日

Viva 宝塚!

昨年神戸を旅行しました。

滞在中は神戸の雰囲気と食事を楽しみましたが、一日は宝塚歌劇の観劇にあてました。旅行直前に思いついたのですが幸い予約が取れ、当日は神戸からレンタカーで向かいました。

宝塚歌劇というと、きつい化粧をした女性たちが演じる恋物語のオペレッタ、というイメージが強く冷やかし半分でした。席も舞台から遠かったのですが見始めるとぐいぐいと引きつけられてしまいました。

女性が生身の男を感じさせない美男そのものを演じる、それが作り物の世界であることを強調して現実とは違う世界を作り上げています。
これを下手な役者で見せられたら耐えられないのでしょうが、端役にいたるまで磨き上げられた技で、破綻なく虚構の世界を作りあげています。主役が見得を切るポーズにしてもわざとらしさが極まっているためにひとつの完成された世界の表現として説得力をもっています。考えてみれば歌舞伎の見得だって同じようなものです。

歌劇の後のレビューは一転、華やかさのみを追究して次々に繰り出される歌と踊りに圧倒されます。

観客は女性が中心ですが、母親に連れられた小さな子ども、中学生や高校生、中年の女性だけのグループ、お年寄りなど驚くほどバラエティに富んでいます、それでいて互いに違和感なく宝塚を観劇するファンとしての場を作っています。
開演時間のずっと前に来て売店でスター(スタアの方がぴったりかもしれません)の写真集やグッズを品定めしたり、ちょっとすました雰囲気のレストランで食事をしたり、一日を宝塚で過ごすゆったりとした空気が流れています。
何よりうらやましかったのは、観客の日常にとけこんでいることでした。谷崎潤一郎の小説の世界に通じるバックボーンとそこから来る余裕を感じさせます。滅びの美学になりかねない文化が十代、さらにはその下の年齢層までシームレスに継承されているのです。

これが「文化」なのだなという感慨を持ちました。

私も余裕があれば居を構えて・・・などと考えて芦屋にも足を伸ばしてみましたが、お屋敷の間に建売住宅が詰め込まれている風景は首都圏とあまり変りません。宝塚歌劇にひたる数時間の別世界を楽しむのがよいのかもしれません。

(後日談)
その後BSで宝塚歌劇を見ましたが、あの感激は味わえず「きつい化粧をした女性たちが演じる恋物語のオペレッタ」でしかありませんでした。あの別時間が懐かしくなったらまた宝塚を訪れるしかないようです。

投稿者 tickets : 2007年05月06日 18:24

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