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2005年11月29日
木下恵介という映画監督
木下恵介監督の「陸軍」を見て泣いてしまいました。
始めのうちは笠智衆がタイプではない堅物の軍人上がりを演じていることを面白がって見ていました。紋切り型に表現される当時の考え方もむしろ新鮮でした。
しかし母親が息子の出征の列を追いかける有名なラストシーンで鳥肌が立ちました。これは今の視点で見ても反戦映画です。
戦意高揚映画でこれだけのことをやってのけた木下恵介という監督に畏怖の念をいだきました。
時代の風に流されるのは簡単です。
1960〜70年代には左翼をきどって反体制の波に乗るのは一つの流行でした。被差別部落の女の子がクラスにいたというだけで頭の中で彼女との悲恋を作り上げて、当時はやったフォークソングの世界にひたってしまう世代です(←実話)
現在はサヨチャンはださいと切り捨てて、なんとなくウヨっぽい言動をすることが気分のようです。人を殴ったこともないくせにアニメで戦争を知った気になってしまうお気楽世代です(←これも実話)
どちらも、楽な生き方を選んだ似た者同士です。
木下恵介の矜持がすばらしく見える今という時代、新しい戦前が始まっているようです。
投稿者 tickets : 2005年11月29日 18:44