DSPの設置方法 HUとBOSEアンプの間にDSPを入れます 配線概念図 2芯シールド線でバランス配線をします 分岐ハーネスの製作 DSPへの信号を取り出すハーネス 自動調整機能 H-600の目玉機能です サブウーファの改造 BOSEのサブウーファを使用する方法 RON信号 H-600の電源コントロール信号 オルタネータノイズ対策 ノイズ根絶には苦労しました 不思議な現象 BOSE仕様のHUには謎があります ATENZAのトップページに戻る
アテンザのBOSEシステムは下記の構成になっています。
注意するのはBOSE AMPへの入力は4本なのに出力ではサブウーファ出力が増えて5本になっている点です。オリジナルのBOSEシステムではHUからの4つの出力からBOSE AMPの中でサブウーファ出力を生成しています。ここにDSPを組み込むときは下図の構成に変更します。
簡単に言えばHUとBOSE AMPの間の配線を切ってDSPを割り込ませる形になりますが、サブウーファ(SW)の扱いには注意が必要です。
DSPを使用した場合にはオリジナルと異なりHUからのフロント出力2本(FR/FL)からDSPがサブウーファ出力を生成します。このため最も望ましいのは下の図のようにBOSE AMPからパワードサブウーファへの配線を切ってDSPの出力をパワードサブウーファの入力に接続することです。
HUからDSPまでとDSPからBOSEメインアンプまでの配線はノイズ対策のために2芯シールド線を使用しています。 またシールド外被はDSP側でのみグランドに落とし、信号が流れないようにしてシールド効果を高めています。
バランス信号は2芯シールドの中で逆相の信号となるため、外部への漏洩、外部からの同相(コモンモード)ノイズの混入を打ち消すことができます。
しかしDSP側はアンバランス入力のためバランス→アンバランス変換(平衡→不平衡変換)しなければなりません。
今回はこの変換に市販の信号線ノイズフィルターに入っていたトランスを使用しました。しかし音質を考えるとあまり使用したくないパーツなので変更が容易なようにコネクタで取り替えられるようにしました。
現在用意してあるのは元の回路に戻すための部品(ハーネス)だけですが、将来はOPアンプを使用したバランス→アンバランス変換器を作成することも考えています。DSPからBOSEメインアンプへの配線も同様に2芯シールドを使用しています。メインアンプはバランス入力なのでIN-をDSP側でグランドに落としています。このDSP→メインアンプ部分はDSP(助手席下)→HUの裏側→メインアンプ(運転席下)と非常に長い配線になりますが、ノイズが乗るような問題は発生していませんので当面このままにしておく予定です。
H-600のセールスポイントの自動調整機能を試してみました、購入するまで知らなかったのですがこの機能を使用するには制約があります。
サブウーファ機能がONになっていてH-600にサブウーファが接続されていなければならない。これが実はAtenzaのBOSEシステムでは大問題になります。
上の「DSPの設置方法」の項で説明したようにサブウーファ出力はBOSE AMPの内部で生成されます。しかしH-600のサブウーファ出力に接続されたサブウーファでなければ自動測定に使用できません。ここに何もつながずに測定を始めてもサブウーファ出力から出した音が拾えないので測定を開始せずに終了してしまいます。
正しい方法は「DSPの設置方法」の項の下の図のようにH-600のサブウーファ用出力をBOSEのサブウーファ(パワーアンプ内蔵)の入力に接続するのですが、まだ うまく動作していないのでその方法はとれません。
次善の策として小型モニターと自作の小型アンプをパワードサブウーファの代わりとして使用しました。もちろん本物のサブウーファとは特性が違うので正しい補正はできませんが、と りあえず試してみました。
調整後は元のBOSEアンプ→BOSEサブウーファの状態に戻しています。調整風景
マイクはこのように取り付けました。 自動調整中です。 結果は素晴らしいものでした
偽サブウーファを使用したので、多くを期待しなかったのですが調整後の音は各楽器の定位がくっきりとして音の濁りも減りました。また低域がほどよくブーストされて豊かになり音に厚みが出ました。
この違いは大きく、補正ありと無しを切り替えると補正無しは音が散漫で荒れています。以前は この音でも結構いい音になってきたと自己満足していたのですが・・・
半分ごまかして行った結果がこれですから、正しい方法で実施したときどれほどの効果があるのか大変楽しみです。ドアのデッドニングなどで改善してきた音質ですが、この時点でCDとHDDプレーヤ(WMA/128kbps)の音の差が目立つようになって来ました。カーオーディオ程度の音質ならポータブルHDDプレーヤ で十分と思 い、せっせと15GB分の音楽を入れたのですが、やはりCDの方がよいとなると6連CDチェンジャーで頻繁に入れ替えしなければなりません。
現在のiPodにはApple Losslessのコーデックが入っているので圧縮率50%(40〜80%)ほどで可逆コンプレッションが可能とのことです。単純計算ですが40GBモデルならアルバム1枚 が300MBになるとして130枚以上(1,500曲程度)入ることになります。これならお気に入りの曲を入れるには十分です。
FMはAM並みの扱いになって、本気で音楽を聴くメディアではなくなってしまいました。
このあたりは私の音楽を聴く姿勢が変わって音マニアになってきたのかも知れません、そうならばあまり良いことではありませんが
上の実験は大成功だったのですが、DSPからBOSEサブウーファを ドライブする方法は自動調整するととんでもない音になってしまい、いまだにうまく動作していません。
H600にはRON(Remote ON)というコントロール入力があり、ここに+12Vを加えるとH600の電源が入ります。HUをONにした時に+12Vが出る端子があればH600も連動するのでHUをOFFにしたときは音がでないようになり、オルタネータノイズの影響を減らすことができます。ネットで探してみたところHUから[Switched+12V]あるいは[Amp Remote]と呼ばれる信号線が出ていたのでRONをここにつないでみました。
残念ながらこの信号は期待したものではなく、HUからポップノイズが出てスピーカを壊さないようにするミュート信号のようでした。イグニッションがONになってしばらくしてHUが安定すると+12Vが出ており、HUをOFFにしても+12Vが出ています。
しかしAccよりはベターなので今はこのラインに接続しています。HUの内部から相当する電源ラインを保護抵抗を介して引っ張り出せばよいのですが面倒なのでやっていません。
最初は下の図のように配線したのですがオルタネータノイズが混入してしまいました。HUをOFFの状態でDSPのボリュームレベルを上げていくと20位から聞こえてきて、最大の35では気になるレベルになります。
音楽再生時はマスクされるのでほとんど気にならないのですがHUをOFFにしていると耳につきます。DSPの入力への線を外すと入らなくなるので、入力ラインが拾っていることが わかりました。
下の囲み記事のように悪戦苦闘しましたが、結局配線概念図のようにトランスを使用したバランス入力とすることでオルタネータノイズを根絶することができました。
オルタネータノイズを消すまでは下のようないろいろな対策を試しました。
DSPの+12VラインにKenwoodのノイズフィルターを入れてみましたが、効果はありませんでした。 対策2.シールド外被のアース
HUからDSPに接続するシールド線の外被はDSP側のRCAプラグでのみグランドされています。これをHU側でもグランドしてみましたが、変化はありませんでした。
対策3.アースポイントの変更
DSPのアースポイントをサイドブレーキ部分から他の場所に変更してみましたが、線を長くするとかえってノイズが増えるだけでこれも効果がありませんでした。 また別にアースラインを引いたりもしてみましたが、やはりノイズが増えはしても減ることはありませんでした。
対策4.信号線のアース
HUのバランス出力のうちOUT-は接続されていないのでDSP側で抵抗でグランドに落としてみました。シールド線の中の信号をバランスさせてノイズ消去を期待したのですが、VR(可変抵抗器)で値を変更してみてもノイズは減りませんでした。
市販のRCA入力に入れるノイズフィルターを使用してみましたが、音声がまともに通りませんでした。
回路を調べてみると上図のようになっていました。私のDSP接続の回路ではこのままでは入力回路が閉じないので音が通らなかったわけです。
そこでクリップコードで仮配線してバランス→アンバランス変換器として使用してみるとオルタネータノイズがきれいに消えたので、この方法で対策することにしました。
設置後すぐに調整箇所はフラットのままで動作テストしたのですが、音が豊かになったので驚きました。オーディオには全く興味がない妻に「音が良くなったけれど何か(=無駄遣い)したの?」と聞かれたほどで す。
DSPという余計なものを入れたのに音が向上するというのは考えにくいのですが、音につやが出て、低域も伸びてそれまでのドンドンから腹に響くズンズンに向上しました(ついでに車体にも響いています)。マニュアルでは周波数特性は20〜20kHzまで±1dBとなっていて特に味付けはしていないようです。
[考察1]
従来はHUのボリュームを16ぐらいまでしか上げませんでしたが、H-600を入れた後はマニュアルに従って調整した結果、HU側を25ぐらいに上げDSP側で従来と同音量にしています。HU内の増幅段はこのあたりが一番おいしい領域なのかもしれません。そうならばDSPでなくてもアッテネータ(減衰器)を入れるだけで音質が改善される理屈になりますが・・・
[考察2]
標準ではHUからFR/FL/RR/RLの4つが出力されていますが、H-600にはFR/FLのみを入力してH-600の中で前後に振って4出力にしています。
BOSEシステムはアテンザ用にチューニングしているとの触れ込みですが、HU内で調整している可能性があります。音の追求という点ではメインアンプで調整するのがベストですが、 コスト面ではメインアンプ部は共通部品として色付けをせずにいろんな車種で使いまわしする方が合理的です。
この場合ツイータの無いリアへの出力 はフロント出力と特性が違っている可能性が高くなります。
「BOSEチューニング」がスピーカの選択とサービスホールをウレタンフォームでふさぐ程度のものならばこの推理は外れています。[考察3]
BOSEのサイトに行ってみたところBOSEのオートモーティブ・サラウンド・サウンドシステムの一つサラウンドステージ・プロセッシング回路は、音響心理学を駆使して車の中のどこにいてもベストなサラウンド効果が得られるシステム・・・なのだそうです。なんだかゲーム脳の解説を読んでいるような気分になりましたがいろいろと目新しいシステムを導入して成功を収めてきたBOSEなのでトンデモ学説とは違うのでしょう。普通のスピーカ以外で生き残っているのはコンパクトCDラジオ(←これは大変よくできています)だけという気もしますが・・・
このような効果を出すために全てのスピーカの音を再配分しているようですし、当然位相もぐちゃぐちゃいろいろと操作していると思われます。DSPがこれらのあまりありがたくない効果を少しでも減らしているのであればドライバーズシートでの音は改善されているのでしょう。
[結論]
なんだかよくわかりませんが音が悪くなったわけではないので深く追求はしていません。