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2007年07月07日
Eneloop:充電池の新しい発想
すっかりEneloopのファンになってしまいました。
三洋が初めてNiCd充電池(二次電池)を市販したときは単三型で450mAHの容量でした。その後容量拡大と急速充電の方向で発展した結果、単三型で2500mAH以上のものが市販されています。
一方で自己放電が大きいという欠点は放置されてきました。充電器から外した直後は満充電状態でもその後どんどん容量が減っていき、いざ使おうとしても期待するほどの持続時間は得られません。これを避けるには充電器に入れたままトリクル充電(小電流による常時充電)をしなければならず、一組の充電池が充電器を専有してしまいます。
これに比べて一次電池、例えばアルカリ乾電池は自己放電が少ないので、時間が経っても十分な容量が残っていますから買い置きできます。
Eneloopでは最大容量を落として自己放電を押さえる設計を行い、充電後一年経っても85%の容量が残っています(三洋の資料による)。このため充電器から外して乾電池のように保存できます。
この資料を基にして2000mAHのEneloopと2500mAHの従来電池を比較してみました。
充電直後 6ヶ月後 12ヶ月後
Eneloop 2000mAH → 1800mAH → 1700mAH
従来型 2500mAH → 1875mAH → 0mAH
半年で差はなくなり、一年後には従来型は使用できなくなっているのにEneloopは15%目減りしただけです。
このような利便性からヒット作したEneloopですが、技術的飛躍ではなくマーケティングの発想を転換して生まれたようです。
容量を小さくすれば自己放電が少なくなることは知られていたものの大容量でなければ売れないとの考えが支配的でした、私も充電池は容量で選んでいました。
その考えを切り替えて乾電池の置き換えをねらった結果がヒットにつながりました。
この件で少し検索してみたところEneloopより早くPanasonicから似たような製品が発売されていたのを知りました。これが話題にもならなかったのは価格だけの問題だったのでしょうか、それとも一年の間に時代が変わったのでしょうか?
Eneloopでは充電回数も300〜500回から1,000回へと増えています。しかも電池への負担が大きい急速充電の必要も少なく寿命の差はさらに拡がります。
自己放電が少ないということは従来の充電池が苦手としていた長時間、小電流の用途、例えば置時計にも使えるということです(腕時計などの微少電流用途には向いていません)。アルカリ電池に比べれば使用時間は短くなりますが使用する電池を統一できるメリットがあります。
近頃よい話を聞かない三洋ですが、充電池というコアコンピタンスな分野での復活を期待したいところです。