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2006年07月02日
ジェネリック医薬品:昔の名前は「ゾロ薬」
最近「ジェネリック医薬品」のTVCMをよく見るようになりました。
昔は「ゾロ薬」と呼ばれていました、特許が切れたとたんに多くの会社からゾロゾロ出てくるからです。この名前には特許の切れた医薬品を作って安く売る商法に対する軽蔑の意味がありました。
これが「ジェネリック医薬品」と名前をかえたとたんに「医療費の高騰をふせぐ正義の味方」に変わってしまったようです。
A) 新薬を開発し、特許で独占して莫大な利益を上げる会社
B) 開発費をかけずに人の後を追いかけて安売りで稼ぐ会社
どちらが良いのか、悪いのか、簡単に結論を出す事はできません。リスクも大きく、莫大な開発費を必要とする新薬開発を続けるためには高い利益率を保証する必要があります。一方で独占という社会的悪を許容する見返りとして一定期間後に技術(特許)を自由に使用させることも必要です。
現在のシステムの元ではこの2者のバランスをうまく取る事が必要ですが、これがうまく機能しなかったのがHIV治療薬の場合です。オリジナル開発のファイザー社製品の価格が高く発展途上国では広く使用する事ができず、違法なコピー薬が出回りました。中には国がコピー薬を作らせていた例もあります。
知的所有権の観点からは当然コピー薬が悪いのですが、先進諸国にとってもHIVを根絶するために発展途上国での感染者数を減らす事が急務であり、対岸の火事視することができませんでした。その結果国際的にファイザーに対する圧力が高まり、結局発展途上国向けの価格が大幅に引き下げられました。
その結果コピー薬が減ったのかどうかまでは知らないのですが、以前よりは良い状態になったのでしょう。
しかし、このような構造を悪用してゾロ/ジェネリック薬品を使っていながら薬価の高いオリジナル薬を使った事にして違法に荒稼ぎしていた(している?)日本の医療機関が悪者であるのは明らかです。
「医は算術」とは未だにこの国での現実なのです。
投稿者 tickets : 2006年07月02日 13:52