1970年代前半に、登場したばかりのL-26
Decadeを購入しましたが、これも例にもれず何度かの補修を経てきました。購入した販売店経由でウーファ125Aのコーン交換を行ってきましたが当初の15,000円/本から今では約40,000円/本になってしまいました。L-26の購入価格が一本約70,000円だったことを考えるとためらってしまう金額です。もっとも
購入価格は現在の貨幣価値に換算すると20万円ぐらいになるのでしょうか?
その他の事情も加わって5年ほど前に補修せずにしまい込んでいましたが、今回エッジを張り替えて復活させました。
今回の作業はオークションで補修用のウレタンエッジが入手できると知ったのがきっかけですが、入手した後でさらにいろいろな方法があることを知りました。
取り扱い店 | 作業内容 |
価格 |
|
メーカー | ハーマンカードン社価格表 | コーンの取り替え | 36,750円/本 |
米国専門店の例 | Simply Speakers.com | コーンの取り替え | $99/本 |
ウレタンエッジのみ取り替え | $34/本 | ||
コーンの取り替えキット (写真は他機種用) |
$59/本 | ||
ウレタンエッジ取り替えキット |
$29.95/2本 | ||
Yahooオークション | ウレタンエッジ取り替えキット (エッジのみ) |
3,900円/本 |
「コーンの取り替え」ではコーン、エッジ、ボイスコイル、ダンパーすべてを取り替えます。
「エッジの取り替え」ではエッジのみを取り替えます。メーカー(ディーラー)での補修がとにかく高いのには驚かされます。
米国の専門店に依頼すると送料が高くつきます。問い合わせてみたところ10インチウーファ2本の場合往復で$200前後はかかるようですが、それを含めてもメーカーの半額程度で修理できます。
社外品でもボイスコイルまで含めたキットがあるのでそれを使用してDIYすれば送料を含めても2本分で$130程度ですみます。今回はオークションでの入手となりましたが、いずれにしてもハーマンに依頼することなく補修できたので非常に安上がりになりました。
商品は台紙に貼り付けた状態でしっかりした段ボール箱に入れられて到着しました。
接着剤も同様に貼り付けてあり輸送途中の振動でエッジがつぶれたりしないよう配慮されていました。
スピーカのクリーニング
エッジの貼り付け
これが今回作業したJBLの10インチウーファ125Aです。
クリーニング
エッジは完全に崩れてしまっているので手で作業できる部分は丁寧に取り除きました。 ガスケット(周辺の空気漏れどめ)をカッターで丁寧に取り除きます。
なおL26では125Aはバッフルの表面から取り付けるのでガスケットはなくても問題ありません。取り外したガスケットです、4分割されています。
再使用可能な状態でした。フレームに残ったエッジや接着剤はラッカーシンナーで軟化させてからスクレーパやマイナスドライバーで取り除きます。 さらにシンナーで汚れを取ってきれいにします。 コーンの裏側に残っているウレタンエッジとその下の糊は特に丁寧に取り除きます。
ここに新しいエッジを貼り付けるので糊やウレタンが残っていると空気漏れの原因になります。表面のウレタンは手やマイナスドライバーで丁寧に取り除きます。
残った接着剤はシンナーで軟化させてからマイナスドライバーなどで取り除きます、コーンを傷めないように時間をかけて作業します。シンナーで軟化させた糊はテープ状にはがれたので、このようにきれいに取り除けました。 クリーニングの済んだウーファです。
シンナーを使用するとコーンにシミが残ることがありますが気にする必要はありません。
新しいエッジの貼り付け
酢酸ビニール系の接着剤(木工用ボンドなど)をエッジのコーンに接する部分に均等に塗ります。塗り残しがあると空気がもれるので全周に切れ目なく塗ります。
エッジをコーンの裏側にはめこんだら接着部分を表裏からよく押さえます。乾燥に時間がかかるので時々押さえて浮き上がらないように注意します。
コーンを軽く押してガリガリ当たらないことを確認した上で1日乾燥させます。フレームの周辺に合成ゴム系の接着剤(ボンドGクリアーなど)を均等に塗ってエッジの外側を固定します。このときは接着剤が乾く前にエッジを貼り付け て位置を修正しながら行います。
ここでもコーンを軽く押してガリガリ当たらないことを確認します。今回はガスケットは付けませんでした、L26はウーファを表から取り付けるので後から付けることも容易です。
バッフルの後ろから固定する場合はガスケットを接着する必要があります。
この作業の前に Control 3 Pro のウレタンエッジを張り替えました。Control 3 Pro はコーンがダンパーでしっかりと保持されているのでエッジ無しでもコーンは自立しており、ボイスコイルがマグネットとすれるようなことはありませんでした。エッジを貼り付ける際もコーンが自立した状態で固定すればよいので位置決めに苦労することはありませんでした。
これに対し125Aではダンパーだけではコーンを自立させることができないので、エッジが無い状態ではコーンはふらふらして いて傾けるとボイスコイルがマグネットに触れてしまいます。つまりコーンはエッジとダンパーによって所定の位置に保持されることになります。従ってエッジをフレームに貼り付ける際にコーン が正しい位置にくるように注意します。
ただ、この作業も当初思っていたほど難しくはありませんでした。
フレームに合成ゴム系の接着剤を塗りすぐにエッジをかぶせて位置決めをします、接着剤が乾いていないので容易に位置修正ができます。位置が決まったらずれなくなるまでしばらくエッジを押さえて待ちます。
久しぶりのL26の音です。
発売当時は「新しいJBLの音」に属した機種ですが古き良き時代のJBL特有の、元気に前に出てくる感じは健在です。私の好きな50〜60年代のジャズによく合う音作りです。とはいえローエンド製品ですし 、特に有名な製品でもないので知らない方も多いと思います。
以前JBLのトランジスタアンプSA-600の中古が結構安い価格で出て きたことがあります。何台か試聴したのですがトランジスタの劣化がひどく雑音が大きかったので購入しませんでした。先進的な設計や今でも古さを感じさせないすばらしいデザインでぜひともほしかったアンプですが骨董以外の価値はなくなってしまったようです。
最近JBLのSE408Sを入手しましたがこちらはメインアンプなためか雑音もほとんど気にならず、L-26につないでみるとJBLらしさが重なって昔のJAZZは音につやが出て非常にいい感じで聴くことができました。昔の録音では弱い部分をアンプやスピーカが補い一種のイコライジングをかけていい音にしていたようです。このためきれいに音が入っている現代の録音では不必要に強調される部分が出てきて耳障りになるようです。